事業承継の種類


中小企業の事業承継 → 後継者確保難

後継者確保が難しい場合こそ、早めに対応策を含めて承継準備を開始すべきです。
後継者確保ができずに事業承継できないケースが増えています。
ある調査によれば、60 歳以上の経営者の約半数(個人事業主に限っていえば約 7 割)が廃業予定と回答しています。後継者難を理由に挙げる割合は約28%です。
この背景には、子どもの意向尊重や自社の将来性の不透明さといった不安があります。


事業承継の準備期間は5年以上が見込まれるため、早めに準備をするのが得策です。
早めに事業承継計画を立てることが肝心です。
中小企業が事業承継をするには、早めに事業承継計画を立て、後継者確保といった準備が必要です。しかし、この準備に着手できていない企業が多いのが現実です。
後継者育成期間を考えると、事業承継の準備には 5 年~10 年程度が見込まれます。
十分な準備をしないで、事業承継をすると、会社を舞台に親族間紛争を起こすリスクもあります。



事業承継の種類は3つ


事業承継の種類

① 親族内承継

現経営者の子など親族に事業を承継させる方法です。


メリット
親族や周囲の関係者から心情的に受け入れられやすい。
後継者を早期に決定しやすく、十分な準備期間の確保ができる。
相続対策により財産や株式を後継者に移転し、所有と経営の一体的な承継ができる。


跡継ぎ候補の親族との対話が肝心です。
後継者は、事業の状況や、将来への事業継続準備に関心があります。
そのため、現経営者は、事業承継を行う前に経営基盤を強化し、後継者の不安を払拭できることが大切です。
子が現経営者の親に対して、事業承継の話題を出してしまうと、後継者としていきなり決定されてしまうのではないかと不安に感じているという話も聞きます。
また、後継者になることは子が意識しているとしても、会社の経営状況について全く知らないため、不安に思っている場合もあります。そして、会社の決算書を見せてほしいと言い出せない場合もあります。
複数の子に承継させる場合には、分社化するあるいは、CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)といった肩書を設けて対応することも考えられます。
家業の承継では、実情に合わせたケースバイケースの工夫が必要となる場合があります。



承継の仕方は実情に合わせて異なることに注意する必要があります。
外部に意見を求めることで、家族内で困っていた状態が打開できることも往々にしてあります。その相談先には、弁護士も一つの選択肢です。


② 役員や従業員承継

親族以外の役員や従業員が承継する方法です。

メリット
経営者としての能力のある人材を見極めて承継可能
社内で長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性を保ちやすい。


親族株主の了解を得つつ、従業員承継を検討することも大切です。
課題である資金繰りについては、種類株式や持株会社、従業員持株会の活用や親族外の後継者も事業承継税制の対象に加えられたことで、行いやすくなりました。
従業員承継を行う場合、事後の紛争リスクを最小化するために親族株主の了解を得ることが重要です。


③ 社外の第三者への承継

株式譲渡や事業譲渡等(以下「M&A等」といいます。)により承継を行う方法です。

メリット
親族や社内に適任者がいない場合でも、候補者を外部に求めることができる。
現経営者は会社売却の利益を得ることができる。

第三者にM&Aで友好的に承継してもらう選択肢もあります。
社外への引継ぎを成功させるためには、事業基盤の強化や内部統制体制の構築により、企業価値を十分に高める必要があります。



事業承継の主な構成要素は3つ


後継者が承継すべき経営資源は、「人」、「資産」、「知的資産」の 3つがあります。



① 人の承継

人の承継は、後継者への経営権の承継を指します。会社形態であれば代表取締役の交代、個人事業主であれば現経営者の廃業・後継者の開業です。
現経営者が事業を誰に委ねるか、適切な後継者の選定は事業承継の成否に影響します。
中小企業では、ノウハウや取引関係等が経営者個人に依存していることが多く、事業の運営や業績が経営者の資質に大きく左右されます。



② 資産の承継

資産の承継とは、事業を行うために必要な資産の承継を指します。たとえば、株式の承継です。
個人事業主の場合、事業用資産の所有者が経営者個人であることが多く、個々の資産を承継する必要があります。



③ 知的資産の承継

知的資産とは、「従来の貸借対照表上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称」です(経済産業省の定義)。
中小企業では、経営者と従業員の信頼関係が事業の運営で重要な存在です。

経営者交代により信頼関係が喪失し、従業員が退職した事例もあります。これを防ぐために、自社の強み・価値の源泉が経営者と従業員の信頼関係にあることを後継者が深く理解し、従業員との信頼関係構築に向けた取組を行う必要があります。


事業承継の進め方を一挙に説明します


Step1 事業承継準備の必要性を認識


円滑な事業承継のためには外部専門家に、早期に相談することが近道です。
事業承継問題は、家族内の課題として捉えられがちです。
手遅れにならないためにも、早期に準備をすることが大切です。
弁護士には守秘義務があるので、周りを気にせずに相談できます。


Step2 経営状況・経営課題等の把握


経営状況や経営課題、経営資源等の現状を正確に把握します。
自社の強みと弱みを把握し、強みをいかに伸ばすか、弱みをいかに改善するかを把握します。


Step3 事業承継に向けた経営改善


後継者の有無にかかわらず、経営改善によりよい状態で引き継ぐことを目指したほうがいいです。
親族内に後継者がいる場合でも、現経営者は経営改善に努め、より良い状態で後継者に事業を引き継ぐことが大切です。以下の事項の実践が考えられます。
① 本業の競争力強化
② 経営体制の総点検
③ 経営強化の実践
④ 業績が悪化した中小企業における事業承継
財務状態を改善することは、円滑に事業承継を行うために極めて重要です。
債務整理等を行う必要がある中小企業では、後継者確保が困難になります。
弁護士が事業再生のお手伝いをすることが考えられます。この場合、裁判所の手続きを用いる法的整理(民事再生、会社更生)と裁判所の手続きを用いない私的整理があります。


Step4-1 事業承継計画の作成(親族内・従業員承継の場合)


事業承継計画を作り、関係者と共有して認識を一致させることが大切です。
自社の状況を整理して将来を見据え、いつ、どのように、何を、誰に承継するのかについて、具体的な計画を立てる必要があります(事業承継計画)。
事業承継計画は、後継者や親族と共同で、取引先や従業員、取引金融機関等との関係を考えて作り、その後は関係者と共有しておくことが望ましいです。


Step4-2 M&A等のマッチング実施(社外への引継ぎの場合)


M&Aの場合、売り手に独立した助言者がつかない場合には弁護士にアドバイスをもらいながら進めることをお勧めします。
親族や従業員以外の第三者に事業引継ぎを行う場合、売り手はStep1~3を経た後、買い手とのマッチングに移行します。
売り手にとって初めてM&Aをする場合が多いと思います。専門用語や重厚な書面締結を伴いますので、仲介会社がいる場合であっても、弁護士にサポートをしてもらうほうが安心して進められます。


Step5 事業承継の実行


事業承継の完了により、後継者が経営を担います。
Step1~4で把握された課題を解消しつつ、事業承継計画やM&A手続き等に沿って資産の移転や経営権の移譲を実行します。
法的に専門的なことが出てきますので、弁護士に相談することが大切です。



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